研究概要 |
ニッケル基単結晶超合金CMSX-2を用いて、1173K,大気中において引張・圧縮-繰返しねじりの高温低サイクル疲労試験ならびにひずみ保持を伴うクリープ疲労試験を実施した.ミ-ゼス型の相当ひずみ範囲が同一の試験では,引張・圧縮に較べて繰返しねじりの低サイクル疲労寿命が大きく低下することが明らかになった.この主要な原因は、弾性定数の異方性によることが判明した.また,引張・圧縮と繰返しねじりで10分間のひずみ保持を伴うクリープ疲労試験を行った.ひずみ保持を伴うことによる寿命低下は引張圧縮と繰返しねじりとでは大きな差はなかった. 単結晶超合金が使用されるガスタービン動翼では,エア-フィルム冷却孔を始めとして,応力やひずみ集中部が存在する.単結晶超合金は結晶組織に伴う顕著な塑性変形の異方性を有するため,等方性理論を用いた既存の弾塑性有限要素法プログラムでは変形解析を行うことが出来ない.本研究では結晶塑性理論に基づく3次元の弾塑性有限要素法プログラムを開発した.開発したプログラムでは,八面体すべりと立方体すべりの両者を考慮することが出来る.開発したプログラムに必要な材料定数をCMSX-4を用いて,1123Kで求めた.解析結果とCMSX-4を用いた結果とは高精度で一致した.併せて,等方性理論およびHillの異方性を用いた弾塑性解析結果と結晶塑性理論に基づくものとの比較を行ったが,実際の単結晶超合金の弾塑性変形は,等方性やHillの異方性体のそれとは大きく異なることが明らかになった.
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