研究概要 |
本研究では,球面を球極座標で測定する手法の確立をその目的としている.測定基準となる球面データムは直交する2つの高精度回転軸(超精密静圧空気軸受)により創成する.このようなデータム創成法により,単純で安価な測定機構を実現できる.開発する測定システムでは,測定機系のデータムに球面・非球面部品のデータム(形状の基準となるもので軸心や球の中心など)を一致させることが必要となるが,そのままでは不可能である.そのため,アルゴリズムによって,両データムを一致させ,測定される球面・非球面の実体を再現することを試みる.そして,再現された形状と設計情報を比較することで,形状誤差等を把握することが可能になる. 現在までに測定システムのハードウェアの基本部分をほぼ完成させた.今年度購入のレーザ式変位センサは,それを取り付け,データを収集可能な状態とした. 本年度の実績としては,測定機系のデータムと球面試料のデータムを一致させる,ハード的な手法について検討,報告を行った.また,ハードでは,一致しきれない設定誤差による影響(特に極近傍であらわれる不連続な段差)について検討を行い,その現象の原因をあきらかにし,さらにそれを補正する方法を確立した.さらに,赤道近傍のデータ処理を中心に球面・非球面の試料についての評価法を確立し,球面,トーラス面などの試料の評価を行った.図形表示としては,等高線表示のプログラムなどを作成し,有効なプレゼンテーションを可能とした.今後は,極近傍でのデータ処理,非接触センサおよび接触式センサを用いた場合の違いの比較・検討などについて研究を進める予定である.
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