研究概要 |
近年,セラミックス,シリコンウエハ,ガラスなどの硬脆材料の加工において,自動化,高能率化などの目的のため,固定砥粒によるラッピングの研究が進められている. 著者らは,非常に微細な炭化けい素(SiC)ウイスカを用い,その繊維の方向を加工面に対して垂直にそろえた砥石の開発を行うとともに,この砥石の研磨特性について研究を行ってきた. 本研究では,この砥石を応用してSiCウイスカの方向をそろえた砥石セグメントを,ウイスカの方向が加工面に垂直になるように金属円板の平面上に多数配置して,固定研磨材方式のラップを作製した.そして,これを用いてラッピングをした場合の基本的な特性について調べた.使用した材料は,熱処理したSKD11,ガラスおよびシリコンウエハである. この固定研磨材によるラッピングの問題点は,目づまりによる加工能率の低下やスクラッチの発生にある.そこで,ラップ砥石クリーナを使用することによる効果についても調べた.また,SEM,AFMにより仕上げ面,ラップ表面を観察し,検討を行った. 以上の実験において,次のような結果が得られた. 1.仕上げ面粗さに対するラッピング荷重,速度の影響について,荷重が小さくなるとラッピング能率は低下するが,仕上げ面粗さは良くなる.また速度が速い方が,僅かに最終仕上げ面粗さは良くなる傾向がある. 2、ラップクリーナの効果について,SKD11材では顕著な効果は見られなかったが,ガラス,シリコンウエハ材においては,顕著な効果があることがわかった. 3.SKD11材において,クリーナを使用した場合の仕上げ面粗さは18nmRmax程度であった.またシリコンでは,SKD11材程ではないが,40nmRmax程度の面粗さを得ることができた.
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