研究概要 |
混合潤滑を解析する上で、流体潤滑寄与分と境界潤滑寄与分の両者は同等の精度で取り扱わなければならないが、従来の解析においては、流体潤滑部分と比較して境界潤滑部分の評価が不十分であるため,本研究では境界潤滑膜のせん断特性のうち、境界膜の被覆率と膜自身のせん強さに着目し、境界潤滑を含む一般的な混合潤滑モデルの構築、および数値シミュレーションを行ない、混合潤滑下での境界潤滑膜の吸着特性、とくに吸着膜の被覆率とせん強さを定量的に評価し,二円筒式摩擦試験機および今回改造によって製作されたボールオンディスク式摩擦試験機によって測定される摩擦特性と比較,検討した. まず,油性添加剤の吸着膜について,被覆率をLangmuir吸着式から,せん断強さをEyring粘性モデルから導かれるBriscoeのLangmuir膜のモデルを用いて定量化した。また,その吸着膜モデルを,申請者らの提案している混合潤滑解析モデルに組込み,計算した結果,油膜温度,すべり速度,および荷重の影響を定性的に説明することが出来た。 実験においては,二円筒試験機による実験結果が上記モデルと定性的に一致し,定量的にも近い値が得られた。また,さらに既存の実験装置の改造によりボールオンディスク型の実験装置を製作したが,本年度は実験装置の動作確認と,特性評価に終わった。分子力学を用いた吸着膜の被覆率およびせん断強さの計算は,解析モデルおよび実験結果と比較して満足される結果は得られず,ボールオンディスク摩擦試験機による実験とともに今後の課題である。
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