研究概要 |
設計意図を含む設計情報を表現するための機能モデリングとして,Lindの提案するMultilevel Flow Modellingを検討した.そして,MFMでは(1)エネルギの形態の変化を明確にモデル化できず,また,.(2)構造を主とした情報表現がなく設計図との親和性が低いことが問題であることが明らかとなった.(1)に対しては、エネルギを熱エネルギなどの形態に応じて細分化して表現することにより,理解し易いモデルが得られることがわかった.一方,(2)に対しては,構造を主として機能との関連づけを行う構造-機能モデルと構造モデルの追加を行った.これらの拡張により,目標間の関係,エネルギの形態や構造を組織的,有機的に表現できる目標モデル,機能-目標モデル,機能-構造モデル,構造モデルからなる四層表現設計モデルを提案した. 四層表現設計モデルをエンジニアリングワークステーションに表現するインタフェースシステムを,Small Talk-80を用いて開発した.そして,インタフェースシステムを用いてセントラレルヒ-ティングシステムや流動床式ゴミ処理プラントを例題に設計情報表現を行い,組織的,有機的に設計情報を表現できることを確認するとともに,設計意図の違いをモデル化できることを示した.また,設計者が行う機能と構造の対応づけを支援するインタフェースシステムを構築した. 設計情報を表現する四層表現設計モデルから挙動を導出するアプローチとして,システムの構造から挙動を導出する方法を採った.そのために,Woodsが提案しているHybrid Phenomena Theory (HPT)を適用して,システムの構造モデルとその挙動を解析する数値シミュレーションプログラムとの結合を行った.また,桐山らのモデル構成におけるオントロジーを参考にしてHPTにモデルの複雑さの指標を導入することにより,複数モデルに対応できるように拡張した.検討した機能への構造の割り当て手法や挙動導出手法の有効性は,セントラルヒ-ティングシステムの概念設計を行う例題により検証した.
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