研究概要 |
高出力密度の流体パワーを用いたマイクロマシンを実現するため,印加電界で粘度を制御可能なER流体(電気粘性流体とも呼ぶ.本研究では粒子分散系を用いる)または磁界に吸引される磁性流体を用いた2種類のマイクロ制御弁を提案し,試作および実験により各特性を検討するとともに,応用について検討した. 1.ER流体を作動流体としたマイクロ制御弁の試作:まず12層の平行平板電極から成るラージモデルを試作し,流量によらず電界強度にほぼ比例して圧力制御できること,バンド幅は30Hzであることなどを実験的に確認するとともに,粒子分散系ER流体のレオロジー方程式を導いた.つぎにこの方程式に基づき,一辺12mmの立方体形状の3ポートマイクロ制御弁を設計・試作し,5kV/mmで0.4MPaの負荷圧力変化が得られることを確認した.さらにサーボ系を構成し,長さ40mmのゴム人工筋を用いた小形1軸マニピュレータの制御を試みた。 2.磁性流体を用いたマイクロ制御弁の試作:まずストップ弁ラージモデルを試作し,許容圧力が電磁石電流に比例し,磁性流体の飽和磁化強度の増大や2段化で向上できることを実験的に確認した.またV字溝を有する磁極による流量制御動作も確認した.つぎに電磁石の小形化のため永久磁石を利用したマイクロ切換弁を提案し,一辺20mmの立方体形状の制御弁を試作し,印加圧力8kPa,周波数7Hzの切換え動作を実験的に確認した.さらに最適設計実現のため,流れ場中に磁界により保持された磁性流体の分布形状の数値解析法についても検討した. 3.管内走行マイクロマシンへの応用:1と2の性能を比較し良好な性能が得られた前者を外径9.8mmの円筒形として設計・試作し,ベローズ形アクチュエータを用いインチウォーム式に走行する内径14mmの管内走行用マイクロマシンに搭載した.平均速度0.9mm/sで走行可能なことを実証し,本制御弁の有効性を示した.
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