研究概要 |
平成7年度の研究は年度当初の研究実施計画に基づき遂行された。以下に,研究の進展状況を纏める。 目的(A)ランダムフーリエモードと確率過程モデルによる物体まわりの拡散場の数値シュミュレーション まず,ランダムフーリエモード法における3次元エネルギースペクトルの波数の分割方法とフーリエモードの周波数分布の与え方について検討した。結論は以下の通りである。 (1)波数の分割方法として,幾何学的分割(従来の方法)と代数学的分割の2種類調べ,代数学的分割が幾何学的分割に比べて,波数および周波数スペクトルの連続性,収束性ともに優れていることがわかった。 (2)小さな渦の周波数に次の形ω【approximately equal】{k^3E(k)}^<1/2>(E(k)は3次元エネルギスペクトル)を用いれば,連続性のより周波数スペクトルを得ることができる。 つぎに,確率微分方程式の各種の近似解法を調べた.その結果,以下のことがわかった。 (3)小さな渦運動に適当な時間スケールのU-O過程を用いれば,現実的な粒子軌道を得ることができる。 以上の成果より,現在ランダムフーリエモードと確率微分方程式の結合モデルによる2次元円柱周りの拡散場のシミュレーションが進行中である。また,最近の高レイノルズ数乱流に見られる小さなスケールの集中渦のモデルとして多数のバーガース渦を埋め込んだランダムフーリエモード法の開発も行った。 目的(B)急激変形理論を用いた複雑乱流場の運動学的計算法の確立とその拡散場シミュレーションへの応用 本年度は主に,一様せん断流,軸対称絞り・拡がりの流れについて急激変形理論解の検討を行った.その結果,軸対称絞り・拡がりについては時間的に安定した理論解があるが,一様せん断流についての解は時間的に不安定であることがわかった。現在,これらの乱流場について急激変形の効果をランダムフーリエモードのプログラムコードに組み込む作業が行われている。
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