研究概要 |
本研究は,予蒸発予混合燃焼器の噴霧特性,蒸発特性,燃焼特性,燃焼ガス特性などを調べてそれらの間の関係を明らかにし,低NO_xx燃焼法としての希薄予蒸発予混合燃焼器の設計指針を得ることを目的としている。まず初めに,試作燃焼器を用いて噴霧の蒸発実験を行った。それによれば,常温場では噴射弁から離れるにしたがい,液滴質量流束分布は一様分布に近づき,中心軸上の質量流束のピークは急激に減少し,噴射弁下流495mm(蒸発管出口)では,中心部の質量流束は管壁近くの流束の倍程度まで減少する。一方,気流速度30m/s,気流温度550Kでの水の蒸発実験によれば,噴射弁下流175mmの位置では,中心軸上の液滴の質量流束は蒸気に比べてかなり大きいが,下流に行くにつれ急速に蒸発が進み,430mm付近で両者は逆転する。蒸気の水成分全体(液滴と蒸気を含む)に対する割合の半径方向分布は,中心と蒸発管内壁の間にピークを持ち,中心部および内壁近傍で低くなる。つぎに,燃焼実験を行った.それによれば,当量比の減少に対して,φ=0.6付近で保炎位置が保炎板およびステップの両者から保炎板のみに変化し,火炎は全体的に長くなる。希薄側保炎限界当量比は,蒸発管が長くなるほど,燃焼用気流温度が高くなるほど,気流速度が大きくなるほど小さくなる。燃焼ガス中のNO_x濃度は,当量比の増大とともに指数関数的に増大し,そのEmission Index値は断熱火炎温度に対して実験式で与えられた。本燃焼器では当量比0.54〜0.68の条件で燃焼を行えば,EI(NO_x)値を1g(NO_x)/kg(Fuel)以下かつEI(CO)値を10g(CO)/kg(Fuel)以下に抑えることが可能である。さらに,噴霧の流動や蒸発に関する数値シミュレーションを行った。その結果,気流速度30m/s,気流温度550Kの条件では,噴射弁下流500mmの位置で中心部の気流温度は周辺部より約35K低く,中心部のザウタ-平均粒径は周辺部より約30μm小さいことが分かった。
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