研究概要 |
吸収式冷凍サイクルの吸収器の超小型化を図るため、細隙流路によるLiBr水溶液への水蒸気吸収について実験を主に研究を行った。流路寸法は高さ2mm,長さ275mm,幅30mmであり、下面は真鍮製として水冷により壁温一定条件で吸収熱を除去し、上面を透明アクリル製として流動様式の観察を行う。流路入口より濃度52〜56wt%のLiBr水溶液と水蒸気を供給し、流路出口において気液分離後、水溶液濃度を測定し吸収量を求めた。流路出口圧力は50Torr程度とした。以上の系を用い、液入口サブク-ル度,冷却壁過冷却度,気液の入口流量を種々変化させ、吸収率の測定およびビデオ撮影による流動様式の観察を行った。その結果、入口蒸気流量および液流量の増加と吸収率増加の関係、また液入口および冷却壁のサブク-ル度の増加と吸収率増加の関係を定量的に明らかにした。流動様式の観察より、流量が小さい場合にはプラグ流的で気液界面積および界面の乱れは小さいが、流量の増加とともに波状分離流的となり気液界面積および乱れの増加により吸収率が増加することが分かった。また層流平滑気液分離流を仮定し、気液の速度場,温度場,濃度場の流れ方向変化を求める理論解析を行い吸収率を実験結果と比較した結果、気液界面の乱れによる界面せん断力増加が重要なことが分かった。さらに冷却壁面に吸収促進体として高さ1mmの正方形突起を取り付けて実験を行った結果、平滑壁に較べ吸収率は40%程度増加し、壁面突起による吸収促進が吸収器の小型に有効なことを示した。
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