研究課題/領域番号 |
07650248
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
熱工学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
日向 滋 信州大学, 繊維学部, 教授 (80007020)
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研究分担者 |
桜井 正幸 信州大学, 繊維学部, 助手 (30021166)
姫野 修廣 信州大学, 繊維学部, 助教授 (20114887)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 凍結 / ゲル / 解凍 / 光ファイバ濃度センサ / 人工筋 / 二重拡散対流 |
研究概要 |
本研究では、高分子水溶液の凍結、解凍繰り返し過程によるゲルの高次組織化機構を解明する基礎研究として、二種類の観察セルを使って実験を行った。一つは凍結過程におけるける熱対流と濃度対流の観察が可能な二次元矩形セルによる側方冷却、加熱時のシャドウグラフ観察と水溶液の局所濃度、温度測定による濃度セル構造の検証を行った。もう一つは下方と側方が加熱、冷却できる銅製円筒形セルで、上部自由界面から凍結解凍の繰り返し時の固相の成長の様子を観察した。実験に使用した溶液はゾル、ゲル構造を示す寒天、ポリビニールアルコールを採用した。また二次元矩形セルの場合はゾル、ゲル構造を示さないサッカロースを使って対流観察をおこなった。その結果、凍結、解凍の結果発生する濃度成層は再加熱の際に二重拡散対流が発生する。加熱方法、初期密度成層分布により、分離対流層の発生数は変わることがわかった。即ち、その発生数は密度成層の勾配に比例し加熱面冷却面の温度差に逆比例する。ただし単一自然対流に於いて対流発生限界レイリー数があるようにある限界レイリー数以下では分離対流成層は上下に一つ発生し挟まれた無対流層がしだいに薄くなっていく物質移動機構が存在することがわかった。これに対してゾル、ゲル構造を示す寒天の場合には、相転移移近くでの粘度は高くほとんど対流による濃度偏析に基づくセル構造の形成は見られなかった。寒天について-30℃、30分間凍結、20℃、5分間解凍の繰り返し実験を行ったところ、1回目の凍結、解凍により発生したゲルは凍結時に半径方向針状に形成されたマッシュの水分通路によって網目構造に変化することがわかった。解凍時に含水溶液の濃度を光ファイバ濃度計で測定したところ、すでに水であることが判明した。このことは繰り返し凍結、解凍サイクルによる網目構造の変化は濃度偏析による対流セル構造とは関係づけられない。むしろ凍結するたびに発生するマッシュが機械的にゲル内の孤立水泡セルと連結し、結果的にスポンジ状の複雑な通路が完成する機構であると推論された。したがってマッシュの形成形態を支配する凍結、解凍サイクルの条件が網目構造の高次組織化機構と関係することが示唆されたが定量的な検証は今後の課題として行う予定である。
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