研究概要 |
(1)実験パラメータとして水の過冷度(82K),平均粒径(27〜66μm),質量速度(0.04〜0.78kg/m^2s),空気の流速(3〜7m/s)を変化させて,ミスト冷却実験を行ったが,本年度は,前年度不十分であった実験パラメータ,とくに,水滴の平均粒径,空気の流速が金属裸面における熱伝達特性に及ぼす影響について重点的に調べた。電気炉で所定の温度(750℃)まで加熱された銀製試験体(直径30mm,厚さ10mmの円盤)を2流体ノズルから噴出する水・空気二相噴流(ミスト流)により急冷した。急冷中の試験体の温度変化は,熱電対からの電気信号をAD変換ボードを通して記録計に連続収録した。また,水滴間の相互干渉を高速度ビデオカメラで撮影し,パーソナルコンピュータを用いて画像処理して粒径分布を詳細に解析した。 (2)次に,試験体に熱伝導性の悪い耐熱塗料を焼き付けることによって表面熱抵抗層を設け,これを用いて上記(1)の裸面の場合と同様に実験を行い,熱伝達の促進に及ぼす熱抵抗層の厚さ(3〜38μm)の影響を明らかにした。本年度は,前年度より厚い耐熱塗料を焼き付けた試験体を用いた実験を重点的に行った。熱抵抗層を設けることにより,ミスト冷却熱伝達が大幅に促進されること,熱抵抗層が厚いほど伝熱促進効果が大きくなることが明らかになった。この傾向は,先に報告した浸漬冷却と同じであって,膜沸騰状態でも液体が伝熱表面の一部に間欠的に接触することにより,膜沸騰から遷移沸騰へ早期に移行するためであるとする間欠性固液接触モデルの妥当性が確認された。
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