研究課題/領域番号 |
07650261
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
熱工学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高松 洋 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (20179550)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | プール沸騰 / 電子機器の冷却 / 沸騰開始 / リエントラントキャビティ / FC-72 / 高濡れ性液体 / 伝熱促進 |
研究概要 |
コンピュータチップの発熱密度の増大に対応するため不電導性液体による浸漬沸騰冷却が考えられているが、主に沸騰開始が不安定であることが原因で実用化された例は極めて少ない。一方、従来から通常の液体に対してはリエントラントキャビティが沸騰核として有効であることがわかっている。本研究の目的は、人工的に設けたリエントラントキャビティが高濡れ性液体の沸騰開始およびその後の熱伝達に及ぼす影響を実験的に明らかにすることである。 伝熱面は厚さ0.5mmのシリコンウエハを10×10mm^2に切った模擬チップであり直接通電加熱される。人工キャビティは、SiO_2のスパッタリング、電子線リソグラフィ、湿式エッチングを用いて伝熱面表面に1mm間隔で6×6個設けた。実験はキャビティ口径が3μm、12μmのチップおよび平滑面チップの3種類で行った。このチップを水平上向きにとりつけたテスト部を十分脱気した試験液体FC-72(溶存空気の標準状態換算の体積比率10%)の入った容器に浸漬し、容器全体を恒温水槽の中にいれてバルク液体の過冷度を一定(10K、25K、40K)に保った。 実験は容器全体を0°Cに一晩保った後、所定の過冷度で熱流束を上げて沸騰を起こさせる場合と、この沸騰実験に引き続いて行う2通りの場合について行ったが、沸騰熱伝達特性に関しては2通りの場合の差は全く認められなかった。沸騰熱伝達率はキャビティを設けることにより比較的低過熱度域では平滑面の約3倍になった。また、平滑面チップの場合にはほとんどの条件で沸騰がチップの端面から始まったのに対し、キャビティを設けたチップは伝熱面の中央部から沸騰開始した。しかし、沸騰が開始する伝熱面過熱度は、続けて実験を行った方が高くなる場合もあった。また、沸騰開始の過熱度は15〜25Kであり、口径3μmおよび12μmのキャビティから気泡核を成長させるのに必要な過熱度(1Kおよび5K)よりかなり高かった。したがって、濡れ性の高いFC-72の場合にはリエントラント型のキャビティ内にも液が侵入し、その結果、沸騰開始を決定する代表寸法が口径よりかなり小さくなり必要な過熱度が高くなったと考えられる。
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