研究概要 |
衝突噴流は岐点近傍で高い局所熱伝達率を有することから物体の急冷・加熱に多く用いられている.その場合には単一の噴流ではなく複数の,とくに非円形の噴流群となる.噴流群の熱伝達特性の基礎データを得るために,2個の長円形噴口より空気を噴出させ,対象平板に衝突させた場合の,両長円間の距離Sの影響を調べた.この場合の平板上の温度分布の測定には2次元アレイ型のインジウム・アンチモン(InSb)をセンサーとする赤外線映像装置を用いた.また熱電対による温度の測定,油膜法による流れの可視化,さらに流れ場の速度および乱れ強さを測定した.得られた結果はつぎのとおりである. 1)2噴口間の距離が小さい場合S/L=1.67(S:噴口間距離,L:短軸長さ)では等温度分布線図,熱伝達率分布および油膜模様は噴口と平板間距離が小さい場合において,十字形の分布を示す.これはあたかも周方向にひずんだ1個の噴流の衝突によるようなものとなる. 2)S/L=3.33になると,S/Lが小さい場合に噴流は衝突する前に合体し,噴流どうしの干渉となる.一方S/Lが大きくなると,噴流は衝突した後の流出流と干渉するようになる.このS/L=3.33はその中間であり,噴流同士の干渉,噴流と流出流との干渉を含むために非定常流動場となる.それにつられて熱伝達特性も非定常性を示す. 3)2噴流の場合のSwitching現象は単一噴流と比べてより下流で起こり,まず外縁より起こり,その後中央部に起こりる.温度分布,熱伝達率分布は眼鏡状の形となる. 4)赤外線映像装置は時・空間的温度分布の変化を知るのに非常に有用である.
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