研究概要 |
高圧燃焼容器内に固定した細い石英糸の先端に乳化燃料を懸垂し,赤熱したニクロム線で点火することによりこれを燃焼させた.燃焼中の液滴火炎の挙動をCCDカメラにより観察するとともに,この結果から燃焼時間およびミクロ爆発発生の待ち時間を測定した.微細熱電対により液滴温度を測定した.また,シート状アルゴンレーザを光源とする平面光散乱法により火炎中のすす濃度場の可視化をおこなうとともに,得られた散乱像を画像解析装置を用いて定量化することにより2次元すす濃度分布を求めた.さらに,高速度ビデオカメラを用いて,液相中における相転移,相分離および2次微粒化現象を詳細に観察した.n-ドデカンならびにn-ヘキサデカンをベース燃料として作成した油中水滴型および水中油滴型乳化燃料について測定を行った. その結果,燃焼時間は雰囲気圧力の上昇とともに減少するが,臨界圧力を超えるとほぼ一定となることがわかった.燃焼終了時の液滴温度は雰囲気圧力の上昇とともに上昇するが,純粋燃料の飽和温度より低く、含水率の上昇とともにその差は増大した. 水中油滴型乳化燃料では,温度上昇とともに転相および相分離が生じ,ベース燃料内に水の相が浮遊する状態が現れた.しかし,油中水滴型乳化燃料ではこのような油水分離現象は観察されなかった.ミクロ爆発は低圧においてのみ発生し,この限界圧力は含水率の上昇とともにやや上昇した.ミクロ爆発発生までの待ち時間は雰囲気圧力の上昇とともに単調に減少し,平均待ち時間はワイブル分布で表現された.火炎中に存在するすす量の極大値は雰囲気圧力の上昇とともに増大し,含水率の上昇とともに減少した.
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