研究概要 |
研究計画に基づいて,下記に示す活動と成果が得られた. 1.システムプログラムの開発 実験データ計測から予測解析までの一貫処理可能なシステムプログラムの開発を行った.同定法の理論の基礎についてはすでに開発済みであったが,本活動を通じて実用的な立場からの理論の改良を達成でき,飛躍的に安定した同定ができるようになった.なお,この方法の普及をはかる目的で,コンピュータのハードに依存せず移植性の優れ,かつグラフィカルユーザーインターフェースにより第三者が使いやすいバ-ジョン2の開発にも着手して,本年夏までには完成させる予定になっている. 2.制振鋼鈑の動特性の同定 開発したシステムプログラムを利用して,制振鋼鈑の動特性の同定を振動実験データにより行った.その結果,良好な同定が行えた.従来の同定では,一定の標準寸法の試験片を用いてモード減衰比の同定により制振性能を表わしているが,モード減衰比は根本的に振動モードに依存するパラメーターであることから,試験片寸法が異なった場合や制振鋼鈑により作られる製品の構造物の性能予測に直接は利用することができない.本研究で提案する方法によれば,振動モードに依存しない減衰行列としてモデル化・同定されるのでこれらの従来の問題点が本質的に解決できることになる.そして,振動エネルギーの消失が構造物のどの部分で行われるかといった分布までも実験データのみから計測解析できるようになった. 3.研究結果の整理と報告 以上の研究成果は十分な独創性と有意義性があると考え,日本機械学会主催の国際会議(平成8年9月)およびベルギーで開催される国際会議ISMA21(平成8年9月)で講演発表する予定で現在(2月29日現在)総合的に検討・まとめているところである.なお,平行して学会論文集への投稿も検討している.
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