研究概要 |
高齢者や障害者の日常生活を支援する機器・装置はそれらの人々個々に適応した機能を持ち,快適なものでなければならない.そこで,本研究では,汎用的なハードウェアをソフトウェアによって個別仕様化する歩行機能維持・回復訓練装置の開発を目指し,その基礎の確立を行った.具体的には,訓練者に2枚の板のそれぞれに足を載せさせ,模擬的に個々人ごとに異なる歩行運動を行わせるという知能化された訓練装置を設計・製作することを目的とし,それを実現するために必要な次に示す各要素についての研究とその設計・製作を行った. ・歩行のモデリング 健常者あるいは訓練者の正常な歩行時の各関節角度と床反カデータをもとに,ニューラルネットワークを用いて歩行モデルを作成した.これにより,訓練者の各関節角度入力に対応する正常な床反力を出力させることが可能となった. ・個別仕様化 訓練の個別情報をデータキャリアー(ICカード)に記憶させるシステムの開発を行った. ・傾斜調節の可能な踏み板の設計と製作 前後,左右に傾斜調節可能な足踏み板の設計と製作を行った. 訓練装置では,訓練者の運動中に各関節角度および床反力を計測し,床反力の変化パターンが歩行モデルの出力,すなわち,正常で安定した歩行の床反力のものと一致するように足踏み板の傾斜を時事刻々調整するものとする.これに個々人ごとの訓練の状態を記憶/呼び出しできるICカードシステムを組み入れて訓練システムは個別仕様化される.この訓練システムにより,訓練者個々人ごとに,歩行運動中の正常で安定した重心の移動の仕方を回復させることが可能となるのである.
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