研究概要 |
本研究は,空気圧シリンダのロッド先端部に拮抗形ベローズを取付けた新型機構のアクチュエータ(シリンダ・ベローズアクチュエータ)を提案し,その基礎特性を明らかにした.さらに,シリンダ・ベローズアクチュエータを直動機構部に,ワイヤ張力による拮抗形ベローズアクチュエータを回転機構部に応用した介護用自動移乗機を製作した. シリンダ・ベローズアクチュエータは,静摩擦力によりシリンダが停止した場合においてもベローズアクチュエータが微動作を行い,容易に停止位置誤差(]Sr.+-.[)25μmを実現できることを示した.また,周波数応答実験よりベローズの固有振動数はシリンダの固有振動数より大きく,ベローズがシリンダに比べ柔軟に動作することが明らかになった. 試作した移乗機の移乗プロセスは,被介護者が移乗機サポ-タ部をマニアル操作で各個人に適した位置に設定するマニアルセッティングモード,座位から立位姿勢への動作を補助する移乗アシストモードおよび被介護者が任意の位置・姿勢で停止する定位置静止モードから構成される.本研究では,空気圧ベローズアクチュエータを用いた介護用移乗機の有効性を実験的に明らかにした.すなわち,マニアルセッティングモードでは,パワーアシスト機能により,わずかな力で移乗機サポ-タ部を任意の位置へ操作することが可能となった.移乗アシストモードは,被介護者がサポ-タ部へもたれかかり前傾姿勢をとることにより移乗動作を開始し,被介護者の意思をサポ-タ部の姿勢変化として判断することにより最適な移乗軌道を実現できることが明らかとなった.さらに,サポ-タ部を保持する拮抗形ベローズアクチュエータのカセンシング機能により,被介護者を一定の力で支え被介護者の動作に柔軟に対応することが可能となった.
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