研究概要 |
本研究は,圧電素子によって発生させられた衝撃力を利用した移動機構によって摩擦のある状態での物体の精密位置決めを実現し,これによって超精密自動組立を実現しようとするものである.本研究によって得られた知見は以下の通りである. (1)圧電素子の衝撃力を利用した移動機構を作成し,それにより摩擦力のある状態での物体の微小移動が可能であることを確認した. (2)平面内3自由度(X,Yおよび回転)の精密位置決めが可能な実験装置を製作し位置決め実験を行った.3自由度の位置決め制御を行うアルゴリズムとして,線形計画法と適応制御を用いた方法を考案し,実際に位置決め制御を行った.その結果,画像処理装置の限界の分解能まで位置決め制御が可能であることが判明した. (3)超精密切削加工装置の主軸への被加工物の取り付けおよび超精密位置あわせを目的として主軸ワーク位置決め装置を製作し位置決め実験を行った.その結果,500ナノメーター以下の精度で被加工物を位置決めすることが可能であった. 以上のように圧電素子によって発生させられた衝撃力を利用した移動機構によって摩擦のある状態での部品の精密位置決めが可能であり,超精密組立の際の位置決め機構として使用可能であることが示された.またこれらの,実験結果は実際の使用条件と非常に近い状態で行われており各種精密組立装置,精密加工装置などへの応用が期待される.
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