研究概要 |
本研究は,従来別々のジャンルで扱われてきた突極形ブラシレスDCモータとリラクタンスモータが理論上は共通のモデルで表現できる点に着目し,両者を従来の研究手法とは違った共通の理論的ベースの上で論ずることによって,総合的なモータ構造最適設計法と高性能制御法の開発を行ったものである。研究は平成7,8年度に亘って行われ,得られた成果をまとめれば以下のようになる。 1.突極交流電動機に対して,「バ-ミアンス法」による等価磁気モデルの粗評価と「有限要素法」による精密モデルの導出を行い,そのモデルに立脚したトルクリプルや磁気騒音を抑制可能な電動機回転子構造の最適設計法を確立した。 2.提案の最適設計によって得られる構造パラメータから,電動機最適制御ループの自動構築アルゴリズムを確立した。具体的には,設計された電気パラメータを基に,トルクリプルレスでかつ最大の電流-トルク比を実現できる制御則を自律発生し,さらにその制御則に用いるパラメータを自動設定できるソフトウェアを開発した。 3.以上の構造設計から制御則の自律発生までのアルゴリズムは,試作リラクタンスモータを用いた実験によってその有効性が検証された。 4.突極ブラシレスDCモータに対しては,巻線インダクタンスが回転子位置の関数となる性質を利用した位置・速度センサレス制御アルゴリズムを導出し,特に,固定子誘起電圧が極めて小さくなる低速領域においても回転子位置を推定可能なアルゴリズムを付加した結果,零速度から3,000rpmの範囲で100%負荷・回生運転を実現した。 なお,以上の結果は,電気学会論文誌・米国電気電子学会論文誌への論文発表並びに電気学会研究会等での口頭発表などによって公表されている。
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