研究概要 |
回路構成が簡単で、信頼性及び効率が高く、低コストな太陽光発電システムを開発することが最終目的である。本研究では、まず1kW程度の高効率な昇降圧PWM電力形インバータを開発すること、次にこの回路と太陽電池を用いた太陽光発電システムを作製し、本システムの設計法を確立し、有用性を検証することを目的としていた. 7年度:効率向上のため,まず,主スイッチ素子が1個ですむプッシュプル出力方式の電力形インバータを開発し,スイッチスナバによりソフトスイッチングを実現し,通常のRCDスナバを用いた場合に比べ効率を5〜15%改善できた.次に,このプッシュプル出力方式電力形インバータを系統と連系し,電力フロー特性及びソフトスイッチング特性について実験を行った.この結果,電力の送出はうまく制御できるが,ソフトスイッチングがインバータの変調率や入力電圧に影響を受け,ソフトスイッチングが実現できない場合があることが判明した. 8年度:改めてソフトスイッチング化について検討し直し,コンデンサ1個のみを主スイッチ素子に接続する方式を開発した.この方式を電力形インバータに適用については検討中である.また,電力形PWMインバータの重要な構成要素であり,効率低下の主な原因であるリアクトルについて,その材質と巻き線法および絶縁の有無による効率への影響について検討を行った.材質はフェライト,アモルファスおよび空心である.結果は絶縁有では材質による差はあまりなく83%前後,絶縁無では空心がよく,95%前後の高効率を得た.特に,絶縁有りの空心でフェライトなどを用いたものと同等の結果が得られたことで,これについてはさらに検討していきたい. 次の課題は本回路による太陽電池と系統との連携である.このため今回の予算で太陽電池を購入し,太陽光発電システムを作製し,基本的な実験を行っているが,電力形インバータの効率向上に時間をとられ最終的な設計指針は未だ得られていないが,鋭意検討中である.
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