研究概要 |
情報化社会の進展,都市機能の高度化,社会・家庭における快適な生活指向の高まりに伴い,安定良質な電力供給に対する要請が一段と高まっている。これらの要請に答えるには,現在配電用変電所だけで行われている常時及び事故時の電圧,電流計測を配電線路側にも広げて,配電系統の監視・制御・保護機能を高度化にする必要がある。配電線に設置する電圧,電流センサには,高絶縁性,誘導ノイズを受けない,非接触で測定できる,などの要求があり,これらの諸要求に大して,従来の電圧,電流変換装置による電気的計測方式の適用は困難である。一方,近年,クローズアップされている光応用技術計測方式は,電気的計測方式に比べ格段の優れた諸特徴を有し,これらの諸特徴を生かして高電圧下での電圧,電流センサの研究開発が非常に重要になっている。 本研究では,活線状態で間接工法によって絶縁線に設置できるリングコアレス方式(小型・軽量)でかつ高速・高感度の配電用光電流センサシステムの開発を行い,その実証評価を行った。ファラデー素子として,高感度が実現できる新素材の希土類鉄ガ-ネット薄膜結晶(R_3Fe_5O_<12>)を用いた。著者等が開発した配電用光電流センサシステムは,交流磁界で校正した後,室内において実用の配電線にそのセンサを取り付け,60Hzの交流電流を流して,1Aから550Aまでの電流計測を行い,その結果,出力の直線性が±1.0%以内と良好であった。さらに,間接工法で3セットの光電流センサを6.6kVの配電系統の実線路に活線状態で取り付け,フィールド実験でその性能を実証した。それらの研究成果は,9th ISH,Graz in AUSTRIA と11th Int.Conf.on Gas Discharges and Their Applicationsで発表するとともに電気設備学会と宮崎公立大学紀要に論文として掲載した。
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