研究概要 |
1.マイクロ引下げ法によるKLNマイクロ単結晶の作製 新たに開発したマイクロ引き下げ装置を用いて,K_2CO_3, Li_2CO_3, Nb_2O_5を仮焼したものを出発原料として大気中でa軸及びc軸引下げを行った。結晶育成に使用した坩堝は,直径0.5〜1.2mmφ,長さ1mmのマイクロノズルを有する白金坩堝に直接通電を行うことにより結晶育成を行った結果,長さ150mm以上のクラックフリーのKLNマイクロ単結晶の作製に成功した。 直径0.4-0.8mmのマイクロ単結晶の屈折率分布を明らかにするために,半径方向及び引き下げ方向のSHG位相整合波長の測定を行った。半径方向に関しては,中心部分と外周部の位相整合波長の変動は結晶サイズが0.8mm径のものは最大16nm,結晶サイズを0.5mm径のものは3nm以下の波長変動が生じていることが分かった。また,結晶育成速度を80-120mm/hの範囲で変化させ引下げ方向のSHG位相整合波長の分布を測定した結果,30mmの範囲で3nm以下であり,光パラメトリック発振用に使用可能な結晶特性を有していることを確認することができた。 2.KLNマイクロ単結晶を用いたパラメトリック発振の研究 KLNマイクロ単結晶の屈折率からSellmeierの式(屈折率分散)を求め,光パラメトリック発振に必要な波長と屈折率の関係を求める計算プログラムを作成し,励起波長430, 532, 1064nmにおけるKLNの光パラメトリック発振条件を初めて明らかにした。 KLNマイクロ単結晶の基本的光学特性として,組成と透過スペクトルの関係を明らかにした。組成により吸収端は360-380nmの範囲で変化するが,430nm以上の長波側ではほとんどフラットな透過特性を示すことが明らかになった。また,パラメトリック発振に重要となるKLNマイクロ単結晶の温度特性の測定を行った結果,0.9℃・cmであることを確認し,従来青色SHGに用いられているKNbO_3のほぼ3倍の温度許容度を有しており,実用上有利であることを見いだした。
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