研究課題/領域番号 |
07650356
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 琢二 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (20222086)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1995年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 走査型トンネル顕微鏡 / フェルミレベル / トンネル電流-電圧スペクトル / 表面光電位効果 / 表面空乏層 / 光吸収スペクトル / 組成イメージ |
研究概要 |
1.レーザ光照射下において、キャリア密度5×10^<16、>3×10^<17、>1×10^<18>cm^<-3>の3種類のn型GaAs試料でのトンネル電流-電圧スペクトルを走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて測定した。その結果、レーザ光を照射しない場合には、いずれの場合も表面のフェルミレベルがミッドギャップ近傍にピニングしていることに対応したスペクトルが得られたのに対し、レーザ光を照射したときには、明瞭な表面光電位効果がみられ、また、低キャリア密度の試料ほど光に対する感度が高いことがわかった。これは、低キャリア密度の試料ほど表面空乏層を小さくするために必要な表面正電荷量が少ないとともに、不純物を介した再結合確率が低いためフォトキャリアがより効率的に働けることから理解される。一方、そもそも表面空乏層を持たないInAsでは、レーザ光照射によるスペクトルの変化がほとんどなく、GaAsで得られた結果が主として表面空乏層の低減効果であることを裏付けた。 2.STMでのトンネル電流の光変調効果からキャリア密度3×10^<17>cm^<-3>のn型GaAsの室温における光吸収スペクトルを測定したところ、バンドギャップよりも20meV程度低いエネルギ領域に大きな吸収ピークが存在することがわかった。このピークは、伝導帯-価電子帯間遷移によるものではなく、不純物あるいは表面準位に起因するものと考えられるが、詳細はまだ明らかになっていない。 3.ノンドープGaAs/AlGaAs多重量子井戸構造の劈開断面をレーザ光照射下でSTM観察した。GaAsでのみ吸収されるエネルギの光を照射したところ、STM像においてGaAs領域とAlGaAs領域との間に明瞭なコントラストが得られるとともに、それが光強度に応じて変化することがわかった。これは、通常のSTM観察では困難であった組成イメージ像の獲得が可能であることを示したものである。
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