研究概要 |
複合ペロブスカイト酸化物強誘電体に於ける巨大な自発分極Ps(Pb(In_<1/2>Nb_<1/2>)O_3(PIN)-PbZrO_3(PZ)系固溶体において、Ps=40μC/cm^2)がどのような機構で出現するかをナノ・スケールでのB siteの配列規則性と関連づけて明らかにした.Pzの量xに伴う結晶構造変化はRelaxorの擬立方晶から強誘電相の菱面体晶へと変化していること,菱面体晶は等価な分極方向の数は立方晶よりも多く、立方晶からのずれは対角線方向での僅かの伸び縮みであるので、立方晶に次いで安定構造であり、擬立方晶と菱面体晶との相境界で大きなPsが出現することを明らかにした。(Yasuda;Appl.Phys.Lett.66,571,1995)Pzの量xに伴うB siteの配列規則性がナノ・スケールで無秩序になると強誘電相の菱面体晶が現われること、Pzの量xと温度相図においてモルフォトロピック相境界が垂直に立ち上がっていること,静水圧力下での誘電特性測定を併用することで、その体積効果のみをchemical効果と分離して評価し、双極子密度と不規則配列領域の積が臨界値を境にRelaxorから強誘電相へと変化していること等、結晶-化学的考察から大きな自発分極Psの発現機構に関する新知見を得た。(Appl.Phys.Lett.投稿中)応用面からチタン酸バリウム系に関してもB siteのチタンの代わりに錫を置換していくことで上記と同様に強誘電相からRelaxorへと変化していることを見いだした。(Jpn.J.Appl.Phys.投稿中)この様に本研究の成果は十分得られており、次の自発分極誘起効果を利用した圧電、焦電センサーへの展開が期待される。
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