ケロシンをホスト液体とし、フェライト微粒子をゲストとする固液複合体の屈折率・光吸収係数およびそれらの磁場による変化を調べた。屈折率も光吸収係数も、微粒子濃度の増加とともに線形に増加することが分かった。また、磁場の印加によって屈折率・吸収係数が増大すること、および複屈折が生じることが分かった。そして、磁場による吸収係数の変化と複屈折による偏光状態の変化を利用して、光のスイッチングができるこを実験で示した。 次に、固体をホスト、液体をゲストする複合材料として、陽極酸化法で製作した多孔質アルミナ膜の微細孔中に液晶を封入した複合膜を製作し、光学特性を調べた。液晶が直径約2000Åの柱状孔中で特異な配向を示すため、異方性をもつ大きな光散乱が生じ、偏光特性が現れることがわかった。また、液晶の配向状態を変えることにより、光透過特性を制御できることもわかった。 最後に、微粒子を液体中に分散させた複合体の音響光学効果について調べた。水などの液体中に、ポリスチレンやガラスの微粒子を分散させた固液複合体に超音波の定在波を立てると、節の位置に微粒子が整列することが分かった。そして、このような微粒子の周期的配列により、偶数次の回折光のみが選択的に強調される特異な音響光学効果が生じることを見いだした。また、超音波の発振を停止した後も微粒子が一定時間配列したままの状態を保つので、回折光の残像が最大20秒間近くも生じることが分かった。このような現象をもとにして、微粒子と液体の複合体を光スイッチングや光交換などに応用することを検討した。
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