研究概要 |
インテリジェントネットワークにおいて複数の通信サービスが同時に提供された場合、通信サービスを利用するユーザの意図と異なる動作が起こる可能性がある。このような不具合をサービス競合と呼ぶ。研究代表者らは、サービス競合に関する最新の技術動向を調査した結果、通信サービスの仕様作成段階での静的解決の議論が多く、通信サービスの実行段階での動的解決法の提案が少ないことを確認した。この調査結果に基づき、動的解決法について研究を進め、1つの呼から複数の通信サービスが起動された場合に起こるサービス競合を動的に解決する方法を考案し、第3回サービス競合に関する国際会議(1995年)で発表した。具体的な研究実績は次の通りである. (1)サービス競合の動的解決法の提案 提案した動的解決法では、サービス仕様にサービス競合を起こす要因があってもとりあえずプロトコル仕様に自動変換し、プロトコル仕様の段階で次のような3つの機能を組入れることによりサービス競合を解決する。3つの機能とは次の通りである.(a)サービス競合が起こるか否かを厳密に判定する処理,(b)サービス競合が起こる場合に優先順位を与える処理,(c)優先順位の最も高いサービスを実行する処理.特に,優先順位がネットワーク状態に依存して動的に変化することが提案法の特長である. (2)高度電話サービスへの適用 転送サービス,割込サービス,着信拒否サービス,発信規則サービス,三者通話サービス等の高度電話サービスを調査し,サービス仕様として記述した.次に,提案した動的解決法を適用して,これらのサービス仕様からプロトコル仕様を自動導出する.このときもしサービス仕様にサービス競合の記述が含まれてていれば,導出されたプロトコル仕様において優先順位をつけてサービス競合が解決されていることを実証した.また,ユーザが話中であるか否か等のネットワーク状態の変化に従い,サービスの優先順位が変化することも確認した.
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