研究概要 |
本研究では記号処理を得意とする数式処理言語を用いた回路網の記号解析手法を提案すると共に,提案する回路網記号解析手法の特徴を十分活かした回路網の表現手法や解析内容の表現方法について検討を加えた. これまで一般に,回路網を記号解析する手法としては,パラメータ抽出法などが提案されている.しかしこれら従来の数値処理言語による記号解析では,多くの繰り返し演算によっていたため,記号として取り扱うことのできる素子の数に制限があり,さらに繰返し演算による計算時間や演算誤差が問題になっている現状である.一方で数式を記号のまま計算を行う,いわゆる数式処理言語に関する研究がすすみ,現在では様々な機能を持った数式処理言語が発表されている.しかし,これらの数式処理言語を積極的に回路網の記号解析に利用しようとする試みは他にはなかった. 本研究ではこのような数式処理言語により回路網の記号解析を行うための基本的な考察と,その際回路網や解析内容を手続き型言語のように表現する手法を提案した.本手法によると回路網中任意の組み合わせの回路変数を,記号として扱うか数値として扱うか自由に選択しながら回路網を解析することができるため,従来の解析手法に比べより多様な解析処理を行うことができる.また,回路網全体や解析処理内容をいくつかの部分回路や部分的な解析処理が相互に接続されたものとして取扱うことができるようになったため,より柔軟な回路網や解析内容の記述ができるようになった. 今後本研究で得られた成果を,単に回路網の解析だけでなく様々な分野の解析に応用してゆけるよう研究を継続してゆくことを検討している.
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