研究概要 |
フレーム間の動きがヘルマート変換によって記述され,かつ平行移動成分と共に伸縮および回転の成分が存在する場合に従来のブロックマッチング法を適用すると,伸縮および回転の影響を受けた「見かけの平行移動」が検出される.この見かけの平行移動量の局所的な差分を用いて,ヘルマート変換の伸縮および回転パラメータを閉じた形で導出できる.本研究においては,このような原理に基づく計算効率の良いフレーム間動き予測手法を開発した.本研究の成果を以下にまとめて述べる.(1)伸縮および回転のパラメータは,隣接する複数のブロックで検出された見かけの平行移動の局所的な差分を用いて閉じた形で表現できる.この際のブロックの大きさ,ブロックの間隔,およびブロックの幾何学的な配置などについて実験的に検討を行った.その結果,従来のブロックマッチングで用いられている8〜16画素の等間隔正方ブロックで十分であることを明らかにした.(2)見かけの平行移動の検出精度が,それから計算されるヘルマート変換パラメータの検出精度に与える影響を理論的に検討した.その結果,ブロックサイズを8〜16画素程度に取る場合には,1/2〜1/4画素程度の検出精度を確保することが望ましいことを明らかにした.(3)本手法は,ヘルマート変換よりもさらに自由度の大きいアフィン変換の場合にも拡張できることを明らかにした.これについては,その成果の一部を本年3月に開催される画像符号化国際シンポジウムで発表の予定である.(4)検出誤差を低減するために,一般逆行列に基づいたヘルマート変換パラメータの計算手法を開発した.これについては,計算アルゴリズムとその有効性を現在検証中である.本手法を動画像符号化に適用することによって,符号化効率あるいは再生画質の改善が期待されるが,これについての実験的検討が今後の課題である.
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