研究概要 |
1.マルチメディアトラヒックの特性の研究 動画像ビデオをMPEG2方式で可変ビット率符号化圧縮したフレームの列が非同期転送モード(ATM)のセルに分割されるときのトラヒックの特性を,統計的手法であるR/S解析と移動平均の分散の解析により調べた.その結果,自己相似性を表すHurstパラメタの値が極めて1に近いことがわかり,その理由は,MPEG2方式ではIフレームという大きなフレームがほぼ一定時間間隔で生成されているためであることがわかった.また,同様の解析を大学内のイーサネットLANを流れるパケット数の測定データに対して行ない,Hurstパラメタが0.7程度であることを確かめた.Poisson過程のHurstパラメタは0.5であるので,これらは従来の電話網のトラヒックとは特性が大きく異なると言うことができる. 2.M/G/1待ち行列の性能指標の自動計算 通信システムの性能評価のための数学的モデルとして広く用いられている,Poisson到着過程と一般確率分布に従うサービス時間をもつM/G/1待ち行列システムの解析において,従来のように手計算ではできない複雑な計算を数式処理ソフトウェアMathematicaを用いて自動化する方法を開発した.具体的には,複数の待ち行列の巡回サービスシステム(ポーリングモデル)に対し,待ち時間の分散を初めて計算した.また, M/G/1システムで容量が無限の場合と有限の場合について,過去時間間隔の同時確率分布を逐次的に計算する手続きを考案し,離れた退去時間間隔の相関係数を計算した.
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