研究概要 |
本研究では,神経細胞の単純な数学モデルとして,1943年に提案されたMcCullough-Pittsモデルを用いた動的ニューラルネットワークの構成理論を安定平衡解の立場から考察している.特に,動的ニューラルネットワークを連想記憶へ応用する立場で,まず単純な連想記憶を実現するモジュール(動的)ニューラルネットワークを導入し,このモジュールを多数結合することによって,より複雑な連想記憶を実現する大規模ニューラルネットワークの構成理論を構築してきた.具体的には,次のような成果が得られた: (i)動的ニューラルネットワークに指定した安定な平衡解を構成する理論とその引き込み領域を調整する方法についていくつかの成果が得られた. (ii)特別な構造をもったモジュール動的ニューラルネットワークを導入し,モジュールの安定平衡解を変えることなくモジュールを多数相互に結合してできるマルチモジュール動的ニューラルネットワークの系全体としての安定平衡解の構成方法が得られた. (iii)記憶すべきパターンベクトル数が非常に多くなってこれらの張る部分空間の次元γが情報を表現するパターンベクトルの次元nに近づいた場合にも十分に適応できる一般的な動的ニューラルネットワークの構成方法を提案した. (iv)上記の成果に対するコンピュータ・シミュレーションを実施し,これらの有効性を統計的に確かめた.
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