研究概要 |
近年、高速演算の出来る電子計算機の発達にともない、統計的手法に基づく動的システムのモデリングは極めて盛んになってきた。本研究では、3次や4次の高次統計量に基づいて動的システムに対し、それらのモデル化とモデルパラメータ推定の方法を開発し、その方法の有効性を調べた。 先ず。システムのモデリングについて、その状況によって (1)システムの入力信号と出力信号が共に観測できる場合 (2)システムの入力信号が観測できず、出力信号だけが観測できる場合 の二つに分けられる。前者の場合は入出力データによるモデリング、後者の場合は出力データだけによるモデリングで、特にブラインドモデリングと呼ばれる。前者の場合についての成果はすでに公表しているので,本研究では後者の場合,すなわち,ブラインドモデリングについて取り扱った. [ブラインドモデリング] システムの入力信号が観測できず、出力信号だけが観測できる場合、出力信号のデータに適合するシステムは一般に無数に存在するので、元のシステムを唯一に確定することは不可能である。本研究では、先ず入力信号が白色信号であると仮定し、出力信号の3次や4次のキュムラントを用いたブラインドモデリングの新しい方法を提案した。また、入力信号が有色信号となる場合、出力信号の3次や4次のキュムラントを用いて、元のシステムの出力信号と統計的に一致する出力信号を生成するシステムのクラスを明白にした。さらに、元のシステムの逆システムの特性を推定し、推定した逆システムを元のシステムに継続接続して、入力信号を再生することをブランイド等化またはブラインド復元と言われるが、本研究で、多チャンネルのブラインド等化について新しい方法を提案した。提案した方法を2チャンネルや3チャンネルシステムに適用して、その有効性は確認できた。
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