研究概要 |
自己形成システムは,観測データに基づいて自動的に構築あるいは改変されるシステムである.まず,非数量現象を対象として,観測データの概念への一般化と,観測データに矛盾する概念の特殊化という二つの処理の流れを適宜制御することによって,ルールセット型の一般的なシステムモデルを自動的に構成し,さらにデータに含まれる変化を検出する手法を開発した.また,事例レベルから概念レベルまでを段階的に表現できるニューラルネットワーク,および人力部にゲートを持ち,より明示的に概念レベルを表現できるニューラルネットワークを構成し,その自己形成手法を開発した.さらに,データの変化への対応が容易なニューラルネットワーク構造の決定法を提案した他,ニューラルネットワークの学習のみならず,創造的な新機能の獲得に向けた新しい機能の探索も可能な最適化法を考案した. また,自己形成システムのより一般的な表現手段として,変数が実数値をとる連続系に対して一般化学習ネットワーク,変数が離散値をとる離散(事象)系に対してオートマトン学習ネットワーク,と呼ぶ共にネットワーク型の枠組みを提案した.いずれも学習によって自己を構成・改変する能力を持っており,このための効率的な学習の方法も考案した.また,ネットワークの構成の自動決定法も開発している. 自己形成システムの目的は,状況の変化に対応して,自己を変化させることによって良好な制御を行うシステムを開発することである.そこで,一般化学習ネットワークの枠組みを用いて,クレーンの制御を例題とし,荷の重量,荷の初期位置や目標位置,システムに加わる外乱などが変化した場合においても良好な制御を行うロバスト制御系を開発した.
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