研究概要 |
レーダ誘導を行うホ-ミングシステムにおける誤差距離はレドームの厚さが適切でないと増大する.本研究では従来クラッタ解析などに用いてきた用いてきたシステムブロック図を基本とし,これにレドームの影響を組み入れ,非線形共分散解析法を用いて系統的に解析する方法をとった. 平成7年度は飛翔体を3次モデルとして取り扱った.まず,レドームを組み入れたブロック図について,非線形要素リミタを除いて安定性解析を行うと共に、状態方程式,共分散方程式を導いた.シミュレーションはレドーム・エラー・スロープを飛翔中一定とした場合,変動するとした場合について行った.前者においては,システムのパラメータをノミナル値の前後に変化させ,レドーム・エラー・スロープ対誤差距離の関係を求めた.後者については,レドーム・エラー・スロープがステップ状に変化する場合,および実際に近いと思われる正弦波状に変化する場合についてそれらの影響を求めた. 平成8年度は飛翔体を5次モデルとして取り扱った.まず,安定性解析により,レドーム・エラー・スロープが負の場合しか不安定性が現れない3次モデルとは異なり,正の場合も不安定領域が現れることを示した.ついで,5次モデルに伴う状態方程式,共分散方程式を求め,これをプログラムに組み入れる作業を行った.シミュレーションにおいてはまず,3次モデルと同じノミナル値を用い,比較を行った結果,上述した不安定性が現れること,誤差距離が約2倍になるなど5次モデルの方が厳しい結果を与えることが分かった。3次モデルのノミナル値は5次モデルにはやや不適当なことが分かったので,新しいノミナル値を定め、レドーム・エラー・スロープが飛翔中一定の場合と,変化する場合についてパラメータスタディを行った.これらの結果から従来断片的にしか得ていなかったレドームの影響をほぼ解明することができた.
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