研究概要 |
当該研究で得られた研究成果を以下に示す 1.超高流速計測用翼型マイクロフローセンサの試作 航空機の翼設計理論に基ずき効率良く揚力が得られる翼構造について検討を行い,単純な矩形翼を採用した.翼弦と翼長の比(アスペクト比)を変化させてその効果を考察した.その結果,アスペクト比の大きい翼が感度が高く,流速の増加に対して翼の変化がほぼ線形な関係になることがわかった.このセンサは熱の伝導を使わないため流速が大きい範囲で感度大きく,構造が単純でレーザ変位計を用いて外部からの計測が可能であるなどの利点がある.現在,測定結果を基に構造の見直しを行って感度の向上などを目的とした改良を行っている. 2.超低流速用熱式マイクロフローセンサの設計 高濃度ボロン拡散層に選択エッチングとシリコン-ガラスの陽極接合を用いたプロセスにより製作可能な熱容量が小さく,しかも熱絶縁性の良い熱式マイクロフローセンサを設計し,現在試作している. 3.マイクロチャネル内の流体の解析 シリコン-ガラス接合構造およびシリコン-ポリマー接合構造で微小流路を形成したものを用いて印可圧力-流量特性などを測定した.この実験で得られた知見はマイクロバルブやマイクロポンプなどのマイクロフローデバイスやマイクロ化学分析システムの設計に大いに役立った. 4.低温陽極接合 低温度で接合可能な陽極接合方法を研究し,新しい結晶化ガラスを用いることにより従来の400℃から160℃まで接合温度を低減することが可能となった.この方法はセンサや集積回路のパッケージング技術にも大いに有効であると思われる.
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