研究概要 |
磁気特性を測定することにより、材料の劣化が推定できる手法の確立を目標にして検討を行った。 測定方法としてはHコイル法を用いた単板磁気試験法について検討した。本来は構造材等が使用されている状態のままで劣化状態を測定する必要があるが、今回の研究では、基礎資料を得ることを目的としたため、試料寸法が40*140mmの単板試料で測定が可能な装置を試作した。 試作した単板試験器は、けい素鋼板で作成された巻鉄心を2分割し、それで試料の上下から挟み込むダブルヨ-ク方式とした。磁束密度の測定はBコイル、磁界の強さの測定はシングルHコイル法とした。 疲労の付与は自作した疲労試験機を用いて行った。これは試料の一端を固定し、他端を機械的に振動させるものであるが、振動の振幅は変化できない。振動の周期はおよそ5-10Hzで、振動の繰り返し回数は、電子式カウントした。また、これとは別に、ナイフで試料に傷をつけたものについての測定も行った。 測定周波数については、100Hz,200Hz,1kHz,10kHzとした。磁束密度は100Hzで1.4Tまでの測定が行えるような励磁巻線を施した。試料は、けい素鋼板、SK鋼、絞り用冷鋼板とした。 本研究の結果の要約は以下の通りである。 ・磁性材料表面の傷については検出が可能である。しかし、磁束の向きと傷の方向が直角であることが必要である。 ・疲労による磁性材料の磁気特性の変化は若干見られた。しかし、現時点では法則性を見いだすまでにはいたらなかった。
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