| 研究概要 |
千葉アレーにおいて観測された地震動の卓越方向特性について研究を行った.得られた主な成果は以下の通りである.
1.比較的低い周波数成分の地震動についてはアレー内の各観測点とも最大主軸方向は揃っているが,周波数が高くなるほど観測点毎にかなり違った方向を示す.
2.観測点近傍のごく表層の性質が高周波数成分に強く影響しており,観測点固有の揺れ易い方向が存在する.
3.地中と地表で観測された地震動のスペクトル比について調べると,震動方向によってかなり異なっている.このことは,震動方向によって地盤の応答が異なっていることを意味する.S波の速度異方性がその原因である可能性が大きい.
4.地震動の偏向の程度は,震源から観測点までの距離の他に,地震の規模にも依存している.地震規模が小さいほど,地震動はある特定の方向に強く卓越する.マグニチュードが大きく震源距離が長く周波数が高いほど,地震動の偏向性は弱い.
5.ごく普通の地盤上で観測される地震動の卓越方向は周波数によって異なっている.従って,震源での放射パターンの影響をそのまま反映しているとは言い難い.
6.小地震の記録を重ね合わせて大地震の地震動を予測する経験的グリーン関数法を用いる際には,小地震の記録の卓越方向特性が合成地震動に強く反映されることに注意を要する.
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