研究概要 |
本研究では,コンクリートを部分的に充填した鋼製橋脚の水平荷重-水平変位関係を弾塑性有限変位解析によって求め,充填コンクリートの最適な高さを算定した.その際に,破壊基準の確立に着目し,有効破壊長,及びコンクリートの圧縮限界びずみを変えて種々の解析を行った.そして,既往の実験結果との比較によってその妥当性を検討した.さらに,この破壊基準の下に,最適充填高さを算定し,種々の考察を行い,この種の構造物の地震時保有水平耐力照査法の確立に基本的なデータを得た.最後に,耐震設計法の提案を試みた.本研究の成果をまとめると,次のようになる.(1)平均圧縮限界ひずみを1.1%としたところ,実験値と比べて,強度と変形能に関して,すべてを安全側に評価でき,かつ変形能を十分に活用できる結果となった.(2)補剛材細長比パラメータが小さくなるほど変形能は良く,特に,0.20に近いとより大きな変形能が期待できる.(3)柱の細長比パラメータは変形能に大きく関係することなく,P-Δ効果により,最適充填率に若干の差を生む.(4)コンクリートの強度の上昇は最適充填率を上昇させる.(5)補剛材細長比パラメータが0.20付近ではコンクリート充填高さに関する,センシティビティーが高く,コンクリートの充填には注意を要する.(6)補剛材細長比パラメータが0.25を越える場合には,コンクリート充填高さに関する,センシティビティーが比較的低く,最適な充填高さを多少越えるようなことがあっても,変形能を失うことはない.(7)コンクリートの強度の設定が変形能に対して,大きな影響を及ぼす.(8)コンクリートの充填高さを最適なものにすると,変形能,補剛材細長材パラメータと相関がある.(9)本研究の結果を踏まえて,実用性のあるコンクリート充填鋼製橋脚の耐震設計法を提案した.
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