研究概要 |
異方性材料から成る面構造が衝撃荷重の作用の元で,曲げ状態に入るまでの過渡状態すなわち応力波の伝播特性が応答に影響を与える時間帯での解析的に正確な取り扱い方の出来る固有関数展開法を開発し,それを元に以下の解析を行い,材料異方性が波動伝播に及ぼす影響を示した. 【1】軸対称横等方性円板の応答 板が厚み方向に異方性軸を持つ軸対称横等方性円板を,三次元動弾性論に基づく支配式を半径方向にベッセル展開した調和解析法を用いることにより厚みの方向の解形式を決定し,続いて自由振動解析により固有値,固有関数(振動モード関数)を決定した.その後,固有関数展開法により衝撃解析の定式化を行い,数値計算を行こなった.異方性材料は,自然界に存在するものとしてマグネシウムや亜鉛,また人工的に産み出すことができ近年盛んに活用されている複合材料の内のエポキシ系材料を対象とした.数値結果を等方性材料の場合と比較検討し,異方性の与える動特性への影響を明らかにした. 【2】異方性無限板の応答 軸対称横等方性円板と支配式が同じであるが,物体形状が無限領域に広がるため半径方向にハンケル積分表示した調和解析法を用いることにより,円板と同様の取り扱いのできることを示し,円板同様に固有関数展開法による衝撃解析の定式化を行い,数値計算を行こなった.無限板表面の応答は,表面波(レイレ-波)の影響を大きく受けることを示し得た. 【3】平面ひずみ状態の横等方性平板の応答 円板と同様に,厚み方向が異方性軸である平面ひずみ状態にある平板の衝撃解析を行った.三次元動弾性論に基づきスパン方向にフーリエ展開した調和解析により厚み方向の解形式を決定し,続いて自由振動解析により固有値を定め続いて固有関数を決定し,その後円板同様に固有関数展開法により衝撃応答解を求め,数値解析を行い,その結果を等方性材料の場合と比較検討し,異方性の与える動特性への影響を明らかにした. 【4】異方性無限帯板の応答 無限板において表面波の影響が大きく出たことに鑑み,平面ひずみ状態にある無限帯板の応答を検討した.上記(3)の平板と支配式は同じであるが,スパン方向には無限長であることを考慮して,フーリエ積分による調和解析を用いた.その後の解析の流れは上記と同じである.無限帯板では,無限板と違い,表面波の影響は余りないことが,数値結果から分かった.
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