| 研究概要 |
海洋という自然環境に密着した構造物の安全性を検討する場合,海底地盤の安定性の問題は,基本的検討項目であり,特に,波浪荷重を受ける海底地盤と構造物の動的相互作用を考慮した,海底地盤の安定性検討は必要かつ重要な課題である.
本研究は,波浪荷重を受ける海底地盤及び構造物の動的相互作用問題のうち,特に構造物下にある海底地盤の動的応答特性を,実験的及び数値解析的に評価することを目的として行ったものである.本研究によって得られた成果は以下のとおりである.
(実験的研究の成果)
(1)波浪荷重を受ける海底地盤中の間隙水圧の応答値は,地盤深さが増すに従って指数関数的に減少していく.
(2)波浪荷重を受ける海底地盤中の間隙水圧の応答は,入射波に対して地盤深さに伴う位相を有する.
(3)波浪荷重を受ける構造物-海底地盤系における間隙水圧の応答は,構造物による水面波の変形の影響を顕著に受ける.
(解析的研究の成果)
(1)海底地盤(多孔質弾性体)-構造物(弾性体)-流体系の動的相互作用問題に対して境界要素法を適用し,特に海底地盤内の変位および応力分布に着目した数値解析手法を開発した.
(2)本研究により開発された数値解析手法を用いて,実験のシミュレーションを行った.その結果,数値解析によって得られた海底地盤内の応力分布と実験結果は,ほぼ一致した傾向を示し,数値解析手法の妥当性が確認された.
(3)数値実験より,入射波の波長(L)と構造物幅(b)の比(b/L)が小さい場合,海底地盤内の応力分布は,構造物による波の変形の影響が支配的であるが,(b/L)が大きくなるに従って,波による構造物の運動の影響が顕著に表れてくることが明らかになった.
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