本研究では、輝度分布の予測精度の向上を図るために、輝度分布に支配的な影響を及ぼす部分についての計算を細かいメッシュを用いて計算を行う「複合要素分割手法」と、光の流れを定量的に取り扱う「離散指向光束ベクトル」を新たに提案し、実際の輝度分布計算への適用方法を示した。適用計算例としては、光源が配光特性を持つ場合について「複合要素分割手法」をプリプロセスとして計算を行うケース、反射面が不均等拡散反射特性を持つ場合について「複合要素分割手法」をポストプロセスとして計算を行うケース、反射面が凹凸テクスチャーを持つ場合について「離散指向光束ベクトル」をポストプロセスとして計算を行うケース、の3つを行った。検証方法については、理想的な光学的特性を持つ光源・境界面で構成される模型を作成する事が困難であったので、「複合要素分割手法」を用いた計算例について、細かいメッシュの幅を変化させた場合の精度の変化を求める事で、誤差の定量的検証を行った。その結果、配光特性のケース、不均等拡散反射特性のケースそれぞれについて、細かいメッシュの幅を小さくすることにより誤差の全体量及び最大値が大きく改善されることが確認され、全体としての計算時間の大幅な増大なしに計算精度の向上を図る本手法の有効性が確認された。
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