研究概要 |
上記の研究は,ルイス・カーンの全住宅作品の研究として遂行された。図面,草案群の詳細な調査,3種のダイアグラムの考案による分析,詳細な模型制作による検証,分析が試みられ,さらに空間論,場所論にもとづく建築論的解釈がなされた。研究成果は以下のように公表された。 (1)平成9年度6月,日本建築学会近畿支部研究報告集,(4編の論文) (2)平成9年度9月,日本建築学会学術講演梗概,(3編の論文) また,上記の論文の加筆,再編により,以下の4編の審査論文が,最終年に結実した。 (3)平成9年10月, 日本建築学会計画系論文報告集 「フォーム変容過程の分析による近代住宅の研究--作品研究の方法について」 小論では,「近代住宅のフォーム」の構成システムとその空間論的意味を,作品形成の変容過程の分析により解明することが目論まれる一連の研究の序論にあたる。「作品研究の方法」の根拠が主題化された。 (4)平成9年11月,日本建築学会計画系論文報告集 「ルームの実存的意味--フォーム変容過程による近代住宅の研究」 小論では,住宅の内部に現象するルームの意味が,ルイス・カーンの住宅の主題と方法についての分析をとおして明らかにされた。 (7)平成9年12月,日本建築学会計画系論文報告集 「コートの二重の意味--フォーム変容過程によるルイス・カーンの住宅の研究」 小論では,住宅の構成システム(フォーム)の形成,ルームという場所の形成にかかわるコートの二重の意味を,作品の生成過程の分析を通して解明された。 (8)平成10年3月,日本建築学会計画系論文報告集 「構成要素の統合への問い--フォーム変容過程によるルイス・カーンの住宅の研究」 小論では,カーンの50年代の住宅,モリス邸の生成過程の分析を通して,フォームの自覚の萌芽期における制作の事態が解明された。
|