研究課題/領域番号 |
07650767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
唯木 次男 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (90029885)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 原子クラスター / 合金 / 相変態 / サイズ効果 / 高分解能電子顕微鏡 / 電子回折 / 構造解析 |
研究概要 |
本研究ではナノメータ尺度のCu-AuおよびFe-Ni合金のそれぞれ規則-不規則変態とマルテンサイト変態を高分解能電子顕微鏡観察と電子回折ならびにコンピュータシミュレーションによって調べべ、これらの相変態に及ぼすサイズ効果とその要因を考察した. 先ず、Cu_3AuとCuAu合金の原子クラスターを真空蒸着法により作製し、それらの規則原子配列、欠陥構造および規則-不規則変態の特徴を調べた結果、それらはバルクと同様の結晶構造や欠陥構造を有するが、L1_2およびL1_0規則化にはそれぞれある臨界サイズが存在すること、また、合金原子クラスターの規則-不規則変態温度、T_Cはバルクと比べて数十K以上も低いことが明らかになった.そこで、このようなサイズ効果の要因をコンピュータシミュレーションにより検討した.Cu_3Au合金のL1_2規則化についてのコンピュータシミュレーションは粒径が2および3nmの、それぞれ321および1061個の原子を含むモデル結晶について行った.比較のため、単位胞を5個ずつ並べた立方体に周期境界条件を付加したバルク結晶についても行った.得られた主な結果は次の2点である:1)規則状態と不規則状態のエネルギー差はバルクより原子クラスターでより小さくなる;2)原子クラスターのT_Cはバルクと比べて著しく低く、ナノメータ領域でサイズに依存して更に低下する.これらの結果は得られた実験事実を矛盾なく説明する. 一方、Fe-22.1-22.6at.%Ni合金の蒸着したままの試料は5nm以下の粒状あるいは島状で、bcc微結晶と恐らくFe-Ni複合酸化物の微結晶からなる.このような試料を773Kで加熱すると、平均粒径7nmの孤立したfccオーステナイトの微粒子だけとなった.このオーステナイト微粒子群は室温に冷却しても、また、電顕内で105Kに冷却してもなおほとんどがfccのままであった.この結果はFe-22.1at.%Ni合金の場合、同じ組成のバルクと比べてオーステナイトがおよそ400K以上も安定化することを示唆する.しかし、77Kで10日間保持するとそれらのオーステナイト粒子はマルテンサイトへ変態した.この実験結果は従来から言われているように、微粒子になるとマルテンサイト変態は起きない、のではなく、等温的に起きる可能性があることを示唆するものとして注目される.
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