研究課題/領域番号 |
07650772
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西田 稔 熊本大学, 工学部, 助教授 (90183540)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | TiNi合金 / 形状記憶 / 母相結晶粒径 / マルテンサイト / 双晶モード / 透過電子顕微鏡 / 臨界粒径 / 双晶せん断ひずみ |
研究概要 |
「TiNi形状記憶合金マルテンサイト相の双晶モードに及ぼす母相結晶粒径の影響」に関して研究を行い以下の成果が得られた。 1.透過電顕観察による双晶モードの決定:従来、TiNi合金マルテンサイト相の結晶学的解析に使用されている溶体化処理材(平均母相結晶粒度40μm)において双晶モードの再調査を行った。その結果、マルテンサイト相には〈011〉Type II、{11-1}Type I、{011}Type I、(100)複合双晶、(001)複合双晶の5種類が存在することを明らかにした。さらに、電子回折によりこれらの双晶モードを簡便に同定し、また、双晶界面の高分解能観察を容易に行うための試料作製方法を提案した。本項の成果は日本金属学会欧文誌:Materials Transaction,JIM.Vol.37(1996)pp.210-217に掲載された。 2.冷間加工・再結晶挙動による母相結晶粒度の調整:結晶粒度調整のための再結晶挙動を加工率20%の冷間圧延を施した試料に1.2ksの等時焼鈍を施し調査した結果、再結晶温度は約550℃と決定された。そこで焼鈍温度を525℃として3.6〜180ksの等温焼鈍で0.6〜4μm、さらに、600、700、800℃x3.6ksの焼鈍で各々5、15、30μmに母相の平均結晶粒度を調整した。 3.双晶モードに及ぼす母相結晶粒径の影響:(001)複合双晶の発生頻度は母相粒径の減少とともに高くなり、平均結晶粒径が4μm未満の場合、(001)複合双晶がマルテンサイト相の支配的双晶モードであった。4μm以上の母相結晶粒では〈011〉Type II双晶の発生頻度が高くなり、〈011〉Type IIより成る複数のバリアントで構成される3角形状の自己調整構造が現れた。これらのことより、本合金における変態の結晶学的理論が成立する母相の臨界粒径は4μmと決定された。また、微細粒においては粒界の拘束により上記5種類の双晶モードの内、最も双晶せん断ひずみの小さい(001)複合双晶が選択されたものと考えられた。前項及び本項の研究成果はICOMAT-95(1995年マルテンサイト変態国際会議)で論文発表された。
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