研究概要 |
無限層構造を持つ物質はACuO_2の化学式で表現され、Aは体心位置に入る原子種であり、この原子をCuO_2面が上下にはさむような構造を取っている。常圧固体相反応ではA=Sr_<0.14>Ca_<0.86>の場合に無限層構造が得られるが超伝導ではない。われわれは体心原子Aにイオン半径や価数の異なるものを加えた合成原子を考えて、常圧合成で無限層構造の超伝導を探索した。A=Sr_<1-X>Ca_xの系ではX=0.83〜0.90で無限層構造、X=0〜0.65でSrCuO_2型、X=0.98〜1.0でCa_2CuO_3型構造を取る。A=Sr_<1-X>の系ではX=0.15, 0.3で主としてCu_2SrO_3型が現れた。X=0.5ではBi_2Sr_2CuO_y (2201相)が現れた。A=Sr_<1-X>Pb_xの系ではH-Pb_<2.03>Sr_3Cu_<0.13>O_<7.70>,H-Sr_<14>Cu_<24>O_<41>,SrCuO_2の3相が混合している。A=(Ca_<0.86>Sr_<0.14>)_<1-X>Lixではmajor phaseはCa_2CuO_3 相でminor phaseはLicu_3O_3とCuOであった。A=(Ca_<0.86>Sr_<0.14>)_<1-X>KxではX=0.1, 0.2では無限層構造であった。X=0.3, 0.4ではCa_2CuO_3相と未反応のCuOであった。未反応のCuOが多いため、融点付近の温度再度焼結したら無限層構造が現れた。EDX組成分析から判断するとKが多い場合、Kが蒸発または昇華している可能性がある。A=(Ca_<0.86>Sr_<0.14>)_<1-X>NaxではCa_2CuO_3相とSrCuO_2相が現れ、A=(Ca_<0.86>Sr_<0.14>)_<1-X>Rb_xではCa_2CuO_3相が現れた。A=(Ca_<0.86>Sr_<0.14>)_<1-X>R_x(R=La, Ce, Pr, Nd)の試料を作製したが常圧で無限層構造は得られなかった。A=Sr_<0.7>Ca_<0.3>の場合は、常圧では上に述べたように SrCuO_2型構造である。この物質の圧力合成を行った。結晶構造は無限層構造となり、超伝導転移を示した。転移温度は電気抵抗測定でT_0(onset)=110K(合成温度=950℃)、磁気測定でT_0(M)=118K(合成温度=1100℃)であった。常圧固相反応による試料の電気抵抗はすべて半導体的であった。試料の結晶構造はA=Sr_<1-X>Ca_x (X=0〜0.65)とA=(Ca_<0.86>Sr_<0.14>)_<1-X>Rb_x(X=0.05, 0.1)を除いて、酸素イオンとCu以外の陽イオンの平均イオン半径比によって決まっていると考えられる。
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