研究課題/領域番号 |
07650805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
桑野 壽 (桑野 寿) 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (90002899)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | スピノ-ダル分解 / 脆化 / 寿命予測 / 原子力発電 / シャルピー衝撃値 / 2相分離 / 内部磁場 / 耐食性 / ステンレス鋼 / 経年劣化 / クロム富化相 / 脆性 / メウバウアー効果 / フェライト |
研究概要 |
○熱時効処理:原子力発電の操業温度300℃にごく近い温度である350℃で10000時間までの熱時効処理を終えた。これは本邦での最長記録であるが、2相分離反応はまだ80%までしか進行しておらず、完了までにはさらに10000時間が必要と予測され、研究を継続する。 ○2相分離の機構:2相ステンレス鋼のフェライトは30%程度のCrを含有し、この組成はFe-Cr-Ni3元状態図でスピノ-ダル線近傍に位置するためフェライトは350〜450℃での熱時効によりスピノ-ダル分解で相分離することを確認した。この結果から加圧水型原子力発電の一次冷却水温度である320℃ではスピノ-ダル分解が起こると予測される。フェライトCr濃度の時効時間・温度依存性から求めた2相分離の活性化エネルギーは約190kJ/molで、CrまたはFeの体積拡散の活性化エネルギーに近いことを確認した。 ○2相分離生成相:フェライトは長時間時効により相分離して最終的にCr富化α′相とFe富化α相を生成する。450℃でのそれぞれの相のCr含有量は85および10原子%で、計算状態図とほぼ一致することを確認した。 ○経年劣化:(1)延性低下:シャルピー衝撃エネルギーは未時効状態の220Jから10000h時効後は半分以下に低下し、脆化が起こる。この脆化をもたらす直接の原因は2相分離で生成するCr富化α′相と考えられる。(2)硬度増加:フェライト相の硬さはCr富化α′相の体積分率に比例して直線的に増加するが、オーステナイト相の硬度は変化しない。 ○耐食性:Fe富化α相の生成により耐食性は低下する。電気化学的方法で測定される再活性化ピークは2相分離反応が80%程度進行した段階で現れるので、非破壊的検出法として利用するには検出感度をあげる必要がある。 ○寿命予測:シャルピー衝撃エネルギー曲線は双曲線関数で近似でき、その時効温度依存性から延性寿命が予測できる。延性の保証限界をシャルピー衝撃エネルギーの30Jと仮定するとCF3M規格の2相ステンレス鋼の300での寿命はおよそ50年と予測される。
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