研究概要 |
本研究は溶液紡糸法で水銀系酸化物超伝導体(Hg-Ba-Ca-Cu-O)の綿材化を行う事を目的とする。 始めにポリビニルアルコール水溶液にBa,Sr,Ca,Cuの酢酸塩を混合し、過レニウム酸アンモニウムと有機酸を加え、均一な紡糸ドープを作成する。これを乾式紡糸して、前駆体繊維を作る。この繊維を熱処理して揮発物を除き加熱する。この繊維とHg_1(Ba,Sr)_2Ca_1Cu_2Re_<0.1>O_x又はHg_1(Ba,Sr)_2Ca_2Cu_3Re_<0.2>O_xのペレットを一緒に石英管中に真空封管して反応させる。熱処理条件を検討する事によりほぼ単相の繊維状Hg1212(1)及びHg1223(2)超伝導体を作ることができた。繊維のTcは(1)、(2)繊維でそれぞれ93K,127Kを示し、77K,0TでのJ_cは2300A/cm^2と1000A/cm^2を観察した。 さらにペレットにBaF_2を添加してFのド-ピングを検討した。FドープしたHg1223繊維に対するJ_cの磁場依存性を測定した結果、Fドープにより著しいJ_cの磁場依存性の向上が認められ、77K,10Tで10^2A/cm^2を維持し、繊維は液相組織を取っていた。このためFドープしたHg1223繊維の部分溶融凝固処理を行った。熱処理条件を最適化し、酸素中で350°Cまで熱処理したり、ペレットに微量のHgCl_2を添加させることによりJ_cを向上させ、77K,0Tで10^4A/cm^2の最高値に達した。
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