研究概要 |
精度良く(±0.5°)方位制御された単一すべり系を有する高純度銅単結晶を育成するとともにΣ9,Σ41およびランダム粒界を有する純銅および銅-アルミニウム合金双結晶のCT試験片を作製し,これらについて腐食環境中,一定電位下でのひずみ制御型疲労試験,大気中および真空中(1.3×10^<-3>Pa)疲労試験を行った.単結晶の大気中では疲労過程でPSBが発生し,それとともに最大応力が減少する.PSBの発達に連れてPSB/マトリックス界面に微細き裂の発生が認められるが,腐食環境中では疲労試験初期の急激な硬化領域で既に微細き裂が発生し,PCBの疲労き裂の発生・伝播挙動への影響は認められない. 一方,双結晶試験片については大気中では粒内にPSBが形成される以前に微細疲労き裂は優先的に粒界より生じ,急速に粒界を伝播する.真空中では疲労き裂は粒内に発生・伝播するが,大気中では優先的にき裂は粒界に生じ,粒界を伝播する.き裂先端の局所塑性領域の影響でき裂の一部は粒内に伝播方向を変化させることもあるが,直ちに粒界にその伝播方向を戻す.真空中では粒界はき裂の優先発生点とはならず疲労の進行と共に粒内にPSBが発生しこれに沿ってき裂が生じる.大気中でき裂を生じさせた後,真空中で疲労試験を継続するとそのき裂は一時停留しその後PSB発生に伴いそれに沿って粒内を伝播することが明らかになった.また,大気中のき裂発生および伝播挙動は腐食疲労特有の性質を示し,き裂の伝播速度は真空中のそれに比べ10〜100倍も速いことなどを明らかにした.
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