研究概要 |
まず,Ni/TiO_2サ-メット電極を固相置換反応法で作製する際の技術,特に気孔率の制御法を確立し,熱膨張係数,強度,導電率,ガス透過率を調べた.その結果,(1)反応後の組織はNiとTiO_2のみから成り,焼成温度が高くなるにつれて粗い組織になる,(2)成形圧力が高いほど気孔率は低くなる,(3)焼成温度が高くなるほど気孔率は低くなる,(4)強度は気孔率のみに関係し,気孔率が高いと強度は低くなり,気孔率30%の時の強度は約100MPaと高いことがわかった.気孔率36.8%の試料の電気伝導率は1000°Cで約1000Scm^<-1>と非常に高く,ガス透過係数は,気孔率30〜40%の試料では10^<-2>〜10^<-3>cm^4g^<-1>s^<-1>(室温N_2)の範囲にあり,非常に良好であった. 以上の結果に基づいて作製した気孔率33.6%Ni/TiO_2サ-メット電極にSOFCの電解質として最も有望だとされているZrO_2-8mol%Y_2O_3(YSZ)をプラズマ溶射法で取り付け,水蒸気を含む水素雰囲気中で,電極抵抗の測定およびジルコニアとの反応性の評価をおこなった.電極導電率は,30°Cの飽和水蒸気を含む水素雰囲気中では,温度が高くなるに従って増大し,1000°Cで150S・cm^2と非常に高い値であった.この導電率は他のSOFCの燃料極と比較して十分な値であると考えられた.さらに,1000°Cでの電極導電率の水蒸気分圧依存性を測定すると,導電率は水蒸気分圧が高くなるほど増加し,この挙動を解析した結果,酸素原子のニッケル上での移動過程がアノード反応が律速段階であると考えられた. 最後に,YSZとの反応性のテストを行った。その結果、1000°Cの焼き付けでは反応による劣化は生ぜず,この電極はSOFCの燃料極として有望であることが分かった.
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