研究概要 |
プラズマ切断用電極材料にとって有望と考えられるハフニウム及びその化合物をレーザ焼結法で試作した.得られた焼結体のミクロ組織を光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM及びEPMA)により観察し,反応生成物の同定を行った.これより,試作した焼結体の焼結条件(レーザ出力及び照射時間)によって密度の異なった焼結体が得られた.特に,ハフニウム窒化物の緻密化はハフニウム金属に比べて難しいことが分かった. 窒素ガス導入時の焼結体内部の窒化度合いをX線回折により調べた.その結果,レーザ焼結炉に窒素ガスを導入することで,ハフニウム窒化物を得られることが分かった.ただし,レーザ出力及び照射時間が少ない場合には未反応のハフニウム金属が多量に検出されること,また,レーザ照射面と反対の底部側では窒化の度合いが少ないことが分かった.今回の研究を基礎にして,レーザ光の制御や高出力化等によって気孔の少ない焼結体を得ることができるものと思われる. 試作した焼結電極に対して水冷した銅製陽極に一定時間アーク放電を行なう消耗実験を行なった.その結果,イリジウムに酸化イットリウムを15重量%添加した組成の複合化電極は,作動ガスに酸素を用いアーク電流200Aまではハフニウム電極に比べて良好な耐消耗性を有することが分かった.陰極表面の消耗状態の観察及び分析の結果より,複合化電極の良好な耐消耗特性は低仕事関数である酸化物が電極物質の蒸発を抑制していると考えられ,酸化物の被覆状態が重要であることが分かった.
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