研究概要 |
地球環境保全の立場から、使用済み製品からの重金属類の回収が求められている。なかでも、鉛の回収は法律によって義務づけられるほどに重要かつ厳密である。このことは、鉛を原材料とする各種製造業において、従来の高純度品に代えて、不純物元素を含有した再生鉛を使用しなければならない状況を生み出している。本研究では、再生鉛を原材料として化成処理によりPbO_2を調製することを想定して、系統的調査を行った。すなわち、pb電極の化成挙動ならびに電極特性を及ぼす合金元素の影響を電気化学的手法を用いて明らかにした。また、水晶振動子マイクロバランス法により、室温近傍でのPbの酸化挙動に及ぼす微量不純物元素の影響を解明した。これらの研究結果は、次のような学術論文となった。(1)田口正美:Pb-Ag系およびPb-Sn系合金アノードのアノード電位と交流インピーダンス特性、資源と素材、111巻、4号、(1995年)、259〜264頁。(2)田口正美、岩原玲児、馬場司:亜鉛電解採取におけるPb基合金アノードの電位低下に及ぼすAgならびにSnの効果、資源と素材、112巻、7号、(1996年)、475〜479頁。(3)Masami Taguchi : Anode Potential and AC Impedance Characteristics of the Pb-Ag Alloy and Pb-Sn Alloy Anodes,Metallurgical Review of MMIJ,Vol.13,No.2,(1996),p.52-64.また、次の内容をまとめ、学術論文として投稿中である。(4)田口正美:室温におけるPb薄膜の酸化挙動に及ぼす微量不純物元素の影響。以上の研究成果は、原材料として鉛を使用する亜鉛電解プロセッシングおよび鉛バッテリ-製造の分野で、きわめて有用な知見になると考える。
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